いち

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「坂本クンがこんなことするヒトだなんて、思わなかった……」 「サ、サキちゃん!? これは、その、あの、だって」 「出てって! 出てってよォ!!」 出てってって、ちょ、ちょっと待てよ! こんな華奢な体から、なんでこんな力が出るわけ!? 細い腕は、オレを着実に玄関まで押し出して行く 待って待って、このカッコはヤバい 出てもいいけど、100歩譲って出てもいいけど、これはヤバい!! 「サキちゃん、オレが悪かった! ゴメン! 聞いて! あの―――」 やけに柔らかい床だな、と思った 後ろ向きに押され続けていたから、下なんて見る余裕全くなかった むにゅん カカトから土踏まずまでが一気に包み込まれる そして聞こえた 「ン゛ニギャアアアア―――――ッ」 この世の物とは思えない、音 あれ? 声か? 「リズ!!!!」 おぶっっ!! オレのみぞおちど真ん中に、突き手が入る 今、波動拳出た? 出たよね? 成す統べないオレの体は、まっすぐ玄関ドアに流れ飛んだ ――ドゴァン―― 頭の上に鳥やら星やらが飛ぶって、あぁこんな状況か
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