2.いつもの幸せ

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「1年のとき……」 「1年のとき?」  唯が複雑な微妙そうな顔をして、言おうか言うまいか悩んでいる。嫌な予感がひしひしとするのはなんでだろ。 「1年のときなにがあったの?」  なかなか言わない唯に対して沙代が催促した。 「……奏とレズ疑惑たてられた……」  ぴたり。  固まるあたしと沙代。きっと沙代は今頃きかなければよかったと思っているはずだ。あたしも思ってる。 「ね? ありえないよね? 奏とだよ?」 「え、あー、うん。そ、そうだね」  沙代はあたしの事情を知ってる分困惑している。そりゃそうだ。あたしも初めて知ったとき固まったもん。 「でしょ!? なんで奏なの? こんな異星人!」  なんて答えたらいいかわからず困っている沙代。  ていうかさ、そこまで否定しなくても……。あたしその噂きいたときドキドキして死にそうだったんだから。未だにそれきくとヒヤヒヤするよ。ばれてるんじゃないかって。 「唯、そこまで否定しなくても。あたしが唯のこと好きだっていうのはみんな知ってるよ?」  自分の意思とは無関係に勝手に動く口。自分が傷つくだけなのに。 「うるさい異星人。早くかな星に帰れっ」  だから顔赤くしつつ言われても……。  しかし、うちの中学はどうしてこうノンケカプより先に百合カプに薔薇カプの噂が流れるんだか。あたしたち以外にも2、3組百合カプがつくられてたし。心臓に悪くてしかたない。 「顔赤いよ?」  あたしは意地の悪い笑みを浮かべつつ言う。こうなるともう沙代も聖奈も口だししない。次の唯のセリフはわかってる。 「奏なんか大っ嫌い!!」  照れ隠しだとわかっていても、心が少しだけ痛む。  嫌い、なんてね。言われるのわかってるのに。それでも意地悪するとか、Mですか、あたしは。なんなんだ、この小学生並の愛情表現。
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