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苦笑いしかでないあたしに、沙代が憐れみを含んだ同情の目を向けている。唯はすっかりいじけて目も合わせてくれないし。笑うしかないでしょ。
でも、あたしはこういう唯だから好きなんだ。
いつまで、こうしていれるんだろ……。
ふと思い浮かんだ疑惑。このまま軽く堕ちそうになったとき、タイミングよくチャイムが鳴った。
沙代と聖奈に声をかけ、唯の頭にぽん、と手を置いてから、あたしはダッシュで教室に戻る。
いつまでこうしてていいんだろ……。
次の授業中もそんなことばかり考えていた。
平穏で、変わらなくて、毎日が“いつもどおり”の幸せだと、そんな悩まなくていいことまで悩んでしまうのかもしれない。
少なくともあたしは、このまま時が止まればいいと、本気でそう思っていた……。
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