1.始業式

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「嘘でしょ……」  小さくあたしは呟いた。  最後だから同じクラスがよかった。修学旅行だってあるのに。これじゃなんのために今年の初詣で500円入れて神頼みしたかわからない。願い事だって『唯と同じクラスにしてください』で、多くは望まなかったのに。神様のばか。  周りにわからないようにこっそりとため息をつくと、いきなり真後ろで声がした。 「何へこんでんの?」  うわ、っと思わず声が漏れる。声の主はすぐにわかったけど、いつの間に後ろに。 「うわって何。うわって」  全く失礼だよね、君は。と、そいつ――皆川 聖奈(みなかわ せいな)は続けた。数少ないあたしの“友達”の1人。唯とはこいつ繋がりで話すようになった。いわば仲介人だ。  特筆すべき特徴は小さいこと。身長146cmのミニマムサイズ、ボクっ娘でS。ついでにいわゆる腐女子でもある。 「奏のことだからどうせ唯ちゃん関係でしょ?」  どうせってなんだ、どうせって。あたしだっていつもいつも唯のことばっか考えてるわけじゃ…………いや、考えてるか。 「奏、考えてることが顔に出てるよ」 「うわっ」  聖奈とは別の声が真横から聞こえた。こちらもやっぱり主が誰かはすぐにわかったけど、いつの間に真横に。忍者か、こいつら。 「言っとくけど奏がせーなに気を取られてただけで、アタシは普通にいたからね? さっきから」  ……考えてることが綺麗に全部顔に出てたようだ。  こいつは羽丘 美夜(はねおか みや)。あたしの“友達”であり悪友だ。聖奈の幼なじみ。高めの身長(ホント羨ましい)に、長い黒髪。ぱっと見はクールでかっこいいのに、中身はぼけキャラでM。これもギャップ萌えというのだろうか。ちなみにミヤと聖奈が並ぶとカップルの理想の身長差がつく。 「……おはよう、ミヤ」 「うん、おはよ。奏」  あたしの責めるような視線を無視し、ミヤは自分のクラスを確認してる。Mのミヤにまでいじられるあたしはなんなんだ。
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