192人が本棚に入れています
本棚に追加
ん?あたしは誰かって? あ、失礼しました。そういえば自己紹介がまだでした。あたしは間宮 奏(まみや かなで)。恋に恋するお年頃の女子中学生。現在進行形で片思い中(しかも初恋)。相手は……女の子。
レズと言われようと、気持ち悪いと言われようと、好きなんだからしかたない。正直、信頼してる友達と彼女以外になんと言われようが構わない。でもレズよりビアンがいいかな。言われるなら。
身長は標準。可愛さとは無縁で、かっこいいと言われても可愛いと言われることはない。そんな娘です。あたし。
「奏ー。行くよー? 置いてくよ?」
聖奈に呼ばれ、あたしは慌ててクラスを確認した。
あたしは3組。唯の隣のクラス。体育は一緒だ。よかった。
ついでに聖奈とミヤのクラスも確認している最中、見つける前にミヤが教えてくれた。
「アタシと奏は一緒。せーなは4組。唯ちゃんと一緒」
ミヤはそう言って先に下駄箱へと向かう。あたしも慌てて追いかけた。
「せーなが羨ましい?」
からかうようにミヤがきいてくる。また顔に出てたろうか。
「当たり前じゃん」
これが他の人だったならまた勝手が違うだろうけど、相手はミヤだ。隠すこともない。素直に答えた。
「素直だねぇ。ま、アタシで我慢しなさい」
「……無理。唯がいい」
相手がミヤなので好き放題言う。ミヤは苦笑すると、あたしの頭をぱしっ、と軽く叩いた。
「あ、そ。じゃ頑張りな」
そう言ってミヤは先を歩く聖奈のところへ行った。
ミヤなりの励まし方。きっとあたしが唯とクラス別れて落ち込んでたからだろう。ミヤの優しさが嬉しかった。
「ちょ、ミヤ、聖奈。待ってよ!」
そう。クラスが違うからなんだ。落ち込んでなんかいられない。
あたしは前の2人を追いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!