ライフ・タイマー

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オレは、突然の事に事態が把握できずただ街を フラフラしていた。 「オレ、もう死ぬのか・・・」 医者に渡されたタイマーを見ると、“残り1時間20分”を指していた。 「この時計が0になる頃には、オレはこの世にいないんだ・・・・」 まわりを見ると楽しそうに笑って“死”の事なんて考えてない人達がそれぞれに休日を楽しんでいる。その時、オレは猛烈な孤独を感じた。この 寂しさから逃げたい。 「最後ぐらい両親に会いにいこうかなぁ。」 最近、会ってないし育ててもらったお礼も言い たいしなぁ。 そうと決まったら急いでバスに乗らなくては。実家は、茨城だから千葉からだとあまり時間がない。とりあえず最寄駅行きのバスに乗って、窓の外をながめていた。 「この景色もこれで最後か・・・・」 『次、止まります』 アナウンスが停車を つげた。 キィィィィーーー! バス停につくと数名の人が乗り込む。こんな時間なので年寄りが5名程しか乗ってない。 みんな、座るとバスが動き出した。このまま行けば30分前には実家に着くだろう。 着いたら残りの時間は何してようかな。バスにゆられそんなことを考えていた。 春の日差しでぽかぽかしてウトウトする。こんな時も眠くなるんだなぁ。そんなことを 思っていると。 「動かないでください!!」 若い男が突然叫んだ。 「抵抗しなければ何もしません!」 手にした包丁をちらつかせている。車内は、ザワザワと騒がしくなった。
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