ライフ・タイマー

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犯人は、目だし帽をかぶり、小太りで薄汚い服を着ている。未完成な敬語からまだ青年のようだ。凶器を持っている以上、うかつに近づけない。 これは、 “バスジャック”か!?  「運転手さん。福島県に向かってください」 「わ、分かりました」 福島ってことは、隙を見て、降りればラッキー 茨城にいけるじゃん!!  ナイスジャック!! オレは、お前を影ながら応援してるからね!! 「みなさん、後ろの席に移ってください」 乗客は、みんな後部座席に移された。乗客の一人が聞いた。 「なぜ福島に行くん ですか?」 「見てのとおり、お金がなくて・・・絶対行か なきゃならない理由が あるんです」 バスがジャックされて から随分たった。すでに茨城に入った。見慣れた景色が見えてきて 懐かしい気分になった。 うまくこの辺で降りるためにジャック犯に探りをいれる。 「これだけ時間がたてば、バス会社も気付きだしただろう。この辺で人質を解放したらどうかな? 例えば、若い人から とか!!!!」 年寄り達がいっせいに オレをにらんだ。 「そうですね、どうしようか迷っていたところ なんです」 「だろだろ!! まず若い人から解放するべきだよ!!」 「あなたとは、話が合いそうです」 完璧だ!! ここまでうまくいくとは! さすがオレ様だ!!  年寄りには悪いがこの フィールドはオレの手の上なんだよ!!  「そうだよな! んじゃ、降りていいよな!?」
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