ライフ・タイマー

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「な、なんだと!?」 「もう少しで茨城と福島の県境ですね」 もうそこまで来て しまったのか!? ここからだと実家まで かなり近い。 ジャック犯は、運転手を見張りに前に行った。 さっきからジジィが 明らかに息が荒い。 「顔色悪いですけど 大丈夫ですか?」 「大丈夫。それより、 ばぁさんの事が心配 なんじゃ」 「おばぁさんは、 どうなんですか?」 「赤の他人のあんたに 言うのもおかしな話 なんじゃが。ばぁさんは、8年前から 若年性アルツハイマーになってしまってな・・・・・」 ジジィは、 辛そうに話している。 「それは、お辛い でしょうね。」 「ワシは、 ある広告代理店を経営 していたんだ。とても 忙しくてばぁさんに仕事を理由に、子育てや家事を任せっきりにしていたんじゃ。ばぁさんは、疲労が溜まり・・・・・・ワシのせいでばぁさんは、こんなことに・・・・・」 ジジィは、 目に涙を浮かべた。 「そんなに自分を責め ないでください。」 「いいゃ。ワシのせい なんじゃ・・・・だからワシは、ばぁさんを 精一杯面倒をみてやる事が罪滅ぼしだと思っとるんじゃ」 「さっき、危篤状態とか言ってましたが?」 「そうなんじゃ、病院から電話があってな。急に容態が悪化したみたいなんじゃ。だから 、最後くらいみとって やりたいんだ・・・・・だから、こんな所じゃ死ねない!」 「そうです。一緒にここから生きて帰りましょう。」 タイマーには “20分24秒”。 あと20分でオレはこの世を去るのか・・・ このジジィと運転手の 命を救えるのは、オレ しかいない。 オレは、ジジィと2人でジャック犯を取り押さ える方法を考えた。 「なんせ、ヤツは包丁を持っています。」 「そうじゃな真っ向から行ったら殺されるかも しれん……」 「充分ありえますね。 ヤツは、私達を殺す覚悟ができている」 少しの沈黙の後、 ジジィが口を開いた。 「まずワシがジャック犯に説得してみる。ヤツは、ワシを嫌っておるから熱くなってワシしか見えなくなるじゃろう。 そこで、君が武器を 奪って2人で取り押さえる」 「そうですね。それが 得策だとおもいます・・・」
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