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「水に溶けた星が、この花に吸われて生まれ変わる。だから、星は常に新しい光を放つ」
「繋がっているの」
「底の方でね」
改めて不思議な場所だと思った。
しかし、自分は何度かここに来たことがあるのではないか。そんな思いにも囚われ、僕は戸惑った。
「ここは、星の宿り。朝になる前に還って来なければ、星は消滅してしまうんだ」
「へぇ」
星垂の説明を聞きながら、僕はあの流れ星の光が消えかかっていたことを思い出した。
あの星は、ギリギリの所で還れたのだ。
温室内は真白の光に満たされた。
光達が活発に飛び交う。幾つかの束になり、やがて大きくうねり出した。
「そろそろかな」
そう呟くと、星垂は動かない左足を引きずって出入り口へ向かった。
白い光の束はうねりながら空中で弧を描く。その勢いはどんどん増していき、何か物凄いエネルギーにつき動かされているようだ。
「さぁ、行っておいで。輪廻共鳴の渦の中へ」
言って、星垂が扉を開けると、数十本の光の束は弧を解き、一斉に一つの出口を目指して飛び出した。
星達は新たな煌めきを放ちながら漆黒の闇へと消えていく。
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