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「流れ星……か」
何故だか妙な思いにとらわれた。
いつだったか。どこかで今と似たように星が頭上を巡ったことがあったような。
記憶を呼び起こそうとしていると、また向こうから光が飛んで来た。今度は一つだけだ。
先程とは違い、ひどく弱い光だった。しかも、かなりゆっくり飛んでいる。
この光は、一体どこへ行くのだろう。あの光達と同じ場所を目指しているのだろうか。
単なる好奇心だった。
どのみち、この暗闇ではどこへも行けない。なら、この光を追ってみた方がいい気がしたのだ。
方向が定まるのは良いことだ。ただひたすら、そこを目指せばいい。
「よーっし」
頭上を飛び去る光を見据えて僕は駆け出した。
流れ星は、やはりそれなりに早かったが、走ればギリギリ追いつける。
見失わないように、小さな光を睨みつけた。
遠くなったり近くなったり。星は、まるで僕を誘っているかのように、揺らぎながら先を行く。
時折、光がフッと消えた。
視界が狭いのは、右目の眼帯のせいもあるが、少し違う。
僕の右目は腐っている。
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