星の宿り・真綿の檻

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「うん。流れ星に追いつくなんて。君が初めてだよ」  くすり、と笑って少年は銀色の如雨露を手に、怪我でもしているのか、左足を引きずりながらこちらに向かって来た。  白いセーラーの襟と袖口には、瞳の色と同じ青のラインが二本入っている。繻子織りの青いリボンが涼しげだ。それと白い膝丈の半ズボン。  殆ど全身真っ白だ。 「君……は」 「星垂」 「え?」 「聞えなかった? ほたる。僕の名前」  近くの作業台に如雨露を置き、星垂と名乗ったその少年は僕の方を向き直った。 「僕が追ってた、あの星は?」  星垂の煌めく宝石のような瞳を受け止めきれず、目を逸らして僕は尋ねた。  すると、星垂は穏やかに微笑んで歩み寄ると、 「おいで」  と言って、僕の手をとった。      星垂に手を引かれて向かった先には、少し錆び付いたポンプと洗い場があった。 「ここだよ」 「ここ? でも、ここは洗い場じゃ……」  戸惑う僕を尻目に、星垂は洗い場の側に膝をついて手招いた。 「覗いてごらん」  おずおずと洗い場に近付く。その時、初めてそこが洗い場では無いことに気がついた。  そこは、小さな貯水池とも言える場所だった。  星垂の傍に膝をつき、中を覗き込むと、透明な水面に僕の顔が映った。  初めて見る僕の顔が揺れて歪む。  その奥に、大量の硝子玉が淡い光を放ちながら沈んでいるのが見えた。  
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