第一章 おふくろとの別れ

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おふくろに見送られて俺は車に乗り込んだ。 「今度この家に帰ってくるのはいつだろう?」自分の育った家を眺めてそう思った。 茶封筒の中身を見た。 そこには1枚のメモと10万円が入っていた。 貧しい母に苦しい捻出だったに違いない。 申し訳ない気持ちと有り難い気持ちが交錯する。 メモ書きを見た。そこには・・・。 「元気でいてくださいね。お野菜はちゃんと食べてくださいね。あなたはいつまでも 母さんの子供です。」と書いてあった。 引越し業者にバレずに、声を押し殺して泣くのは大変だった。
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