始まりの火

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この大陸には四つの国がある。 それぞれ東西南北に分かれており、ここはその中でも“北の国”と呼ばれる大陸北部の王国だった。 一年のうち殆どが雪で覆われているこの国では王と、貴族と呼ばれる上流階級が国を治めている。 中でもレーヴァという貴族の家は古くからある、いわゆる名家だった。 しかし、名家ということを鼻にかけるようなことは全く無く、むしろ炎を家紋としていることから“炎の友”と民からも親しまれていた。 “炎の友”というのは、古の時代、レーヴァの祖先に炎を生み出す力があったという伝承を用いた伝承だが、もちろん現在の当主エイル・レーヴァにはそんな力は無い。 だが民を考えることに情熱を燃やすエイルは炎のようで、民はそんな所にもレーヴァとしての炎を感じて、“炎の友”と呼んでいるのであった。 だが、 「うーむ…………」 レーヴァの屋敷のバルコニーに、一人の青年がいた。 この国では珍しい黒い髪を後ろで結び、上質な布でこしらえられた服を着こなしている。 彼は唸りながら自分の手のひらを睨んでいた。 そこには、小さな火が灯っていた。 「熱くないんだな。これって、俺が出してるってことでいいのかな?  ――もしかして先祖返りってやつだったりするのかな?」 「ラーサ様、お静かに願えますかっ?」 「にぎゃぁぁぁぁ!?」 背後からの衝撃でラーサは弾け飛んだ。
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