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猫も拭き終わったし、することが無くなったな。
「あの三毛猫さ」
野良子が指差す。僕が一番最初に見つけた猫だ。
「アイツが一番お気に入りだった猫なんだ」
「へえ」
「それだけ」
「アンタの思い出話にはあまり興味がないんだけど」
「ごめん……なさい」
僕は立ち上がって骨をぱきぱき鳴らす。
ずっとしゃがんでいたから疲れたな。
することもないし帰るか。
「僕はもう帰るけど」
「俺も帰るよ」
少し意外だった。
またここに残るのかと思ったのに。
「じゃあ、行くか」
「ああ、行こう。シャム太」
僕と野良子はぬかるみを踏み締めながら、汚れたズボンとスカートのままその場を後にする。
特に会話があったわけでもなく、校門を出て最初の分かれ道で僕らは別れ、それぞれの帰路についた。
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