山中、虎に襲わるる

2/3
前へ
/7ページ
次へ
その日私は汽車に乗り、山の向こう側にある敵国へと潜入する手はずになっていた。 ところが作戦は中途で発覚してしまい、私は山中へ身を潜めた。 ―数刻後 旅人(女)「あのぅ・・・」 利発そうな女だ。年は16くらいだろうか。 私「ん?」 旅人(女)「どうかなさったのですか?」 私「なぜだ?」 旅人(女)「い、いえ、このような山奥に、荷物も持たずにいるものですから・・・」 私「安心しろ、私は君を取って食べたりはしないよ。それより、私はこの山を越えなければならないのだが。」 旅人(女)「それならひとまず仙人様の所へ向かいませんか?必要な食料や道具が手に入りますし、私もこれから向かいますから。」 私「ありがたい。案内を頼むよ。」 女は優しく微笑むと進みはじめた。 しばらく進むと男が血相を変えて走ってきた。 旅人(男)「がっ、がらあなだああああ」 私「がらあな?」 旅人(女)「この山に住む大妖です。早く逃げましょう。」 そのとき、男の体が消え、しばらくして残った下半身が血を滲ませながら倒れた。 とほぼ同時にでかい虎が現れた。 虎はギョロっとした目を剥いて、こちらを睨んでいる。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加