1人が本棚に入れています
本棚に追加
その日私は汽車に乗り、山の向こう側にある敵国へと潜入する手はずになっていた。
ところが作戦は中途で発覚してしまい、私は山中へ身を潜めた。
―数刻後
旅人(女)「あのぅ・・・」
利発そうな女だ。年は16くらいだろうか。
私「ん?」
旅人(女)「どうかなさったのですか?」
私「なぜだ?」
旅人(女)「い、いえ、このような山奥に、荷物も持たずにいるものですから・・・」
私「安心しろ、私は君を取って食べたりはしないよ。それより、私はこの山を越えなければならないのだが。」
旅人(女)「それならひとまず仙人様の所へ向かいませんか?必要な食料や道具が手に入りますし、私もこれから向かいますから。」
私「ありがたい。案内を頼むよ。」
女は優しく微笑むと進みはじめた。
しばらく進むと男が血相を変えて走ってきた。
旅人(男)「がっ、がらあなだああああ」
私「がらあな?」
旅人(女)「この山に住む大妖です。早く逃げましょう。」
そのとき、男の体が消え、しばらくして残った下半身が血を滲ませながら倒れた。
とほぼ同時にでかい虎が現れた。
虎はギョロっとした目を剥いて、こちらを睨んでいる。
最初のコメントを投稿しよう!