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さて、今日はどんな嘘で人を騙してやろかと考えていると、突然目の前に白い煙と共に老人が現れた。
禿げた頭に白い髭、白い着物に杖を持っている。
如何にも神様という出で立ちだ。
俺は
「神様ですか?」
と訪ねると
「いかにも」
と答えた。
大体察しはつく。
今まで散々嘘をついて人を騙してきた俺を懲らしめにきたのだろう。
「きっと、私を懲らしめにきたのでしょう?」
と聞くと
「うむ。お前のせいで沢山の人が不幸になった。神として見過ごすわけにはいかん。お前に天罰を与えに来た。」
と答えた。
やっぱりな、と思った。
しかし、俺は嘘の天才だ。どうやって神様を騙してやろうか。
「神様、ごめんなさい。もう二度と嘘はつきません。」
「お前は嘘つきだからな。信じる訳にはいかん。」
「だったら、もう二度と嘘をつかない証拠に、これから私の言う事が嘘だと思えば、その時はどうぞ天罰を与えてください。もし本当ならばどうぞお許しください。」
「よかろう。但し、嘘だと分かれば容赦はしないぞ。」
俺は
「約束ですよ?」
と、念を押した。
「お前とは違う。私は神だ。」
俺は心の中でニヤリとしてこう言った。
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