44人が本棚に入れています
本棚に追加
カグラ
神楽くんは、自他共に認めるたいへんな面倒くさがりですが、
まあ、特に変わった性癖も、妙な変態的嗜好もない
一般的な、普通の、いち男子高校生でございました。
──…のだが。
◆
なんだろう……。
・・
それを見た神楽くんは、まずなにより先にそう思った。
夕陽のまだ出ないくらいの、高校生の帰り時。
つまりは放課後。
下町の静かな住宅街の一角で、その光景は繰り広げられていた。
不審者だ……、不審者がいる……。
彼がそう思ったのも無理はない。
コンクリートの道路に這いつくばり、目を血走らせながら、キョロキョロとトカゲのように匍匐(ほふく)前進する人がいれば、だれだってそう思う。
最初のコメントを投稿しよう!