不本意な結果における形骸化された議論の結末

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「硅(ケイ)の奴。どこにいるんだ?」    ぼやいて高村壱伊(イチイ)はキョロキョロと辺りを見回した。  昼休みだというのに、ここはいつも人がまばらだ。  本を返すと言う、友人の崎坂硅について図書室に来た壱伊である。こんなことでも無ければ、彼がここに足を踏み入れることはまず無いであろう。  席に着き、適当に選んだ本を開いたまでは良かったのだが、案の定、数ページで眠りについてしまった。  目が覚めると、側の本棚で本を探していたはずの硅がいない。そういう訳で、こうして人気の無い図書室を探し回っているのだが、これがなかなか見つからない。  広すぎるのだ。  中高一貫の男子校、梢瑶学園唯一の図書室だけある。  あの夏の出来事から約半月が経つ。少し風も冷たくなり、徐々に秋を感じ始めてきた。  あれから、普段の生活の中でも変化が起きていた。  いつもは二人で食べていた昼食が、今では三人が当たり前になっている。  合同体育や寮のリビングで休んでいる時も彼といることが多くなった。  以前は、一緒にいるだけでピリピリと空気が張り詰めていたのに。  こんな風になるとは思ってもみなかった。  縁の不思議を感じつつ、ふと視線を落とすと本棚の側に何かが落ちているのに気付いた。 「なんだ、こりゃ?」  拾い上げてみると、それはメモ帳くらいの薄さの小さな手帳だった。  
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