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空を仰ぎ、硅は目を見張った。十メートルほどの高さの所に橋がもう一本、交わるようにして架かっている。
「あ、あんな所から飛び降りたの!?」
すると、壱伊はカラカラと明るく笑って、
「おお! 超バンジージャンプ! スリル満点だったぞ!!」
バンジージャンプは命綱があるからこそ成り立つもので、彼がやったのは単なる無謀な飛び降りである。
硅は深い溜め息を漏らした。
「イチ……。それ、バンジー違う」
「いいじゃねーか、細かいことは! ま、実際フィールド効果があるってわかってなかったら無理だったかもな」
「僕はわかっててもできないよ」
青い顔でそう呟く硅の頭に、壱伊はポンと手をのせた。
「なんにせよ、無事で良かったよ」
「……うん。イチも」
答えて、硅は微笑んだ。
「それにしても、お前いつの間に来たんだ? てか、今までどこにいた?」
「よくわからないけど……ここに来る前までは白いホールにいた。そこで観客に見られながら川嶋君と戦ったんだけど、戦闘が終わったら観客も川嶋君も消えちゃって……」
「あー、それ俺んとこもだわ。さっきまであの階段とこに大勢いたのよ。なのに、一斉に消えちまった」
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