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「なに?」
「いや、な。俺もそう思って、ずーっと歩いてたわけ。敵と戦いながら。ずーっとな」
「……うん」
相槌を打ちながらも、硅は嫌な予感がしていた。
「でも、どこまでも橋が続いているだけで全然『向こう側』に行けねーんだわ。ひょっとしたら端っこと端っこがくっついてて、どでかい『円』になってんじゃねーかな」
つまり、ループしているということか。納得して、硅は頷く。
「出口無しってことか。僕のと同じだね。とすると、この橋も?」
「多分な。試しに歩いてみてもいいけど、相当時間がかかるぞ」
「うぇ……」硅は思わず舌を出して呻いた。
「お前はどの辺からこの橋見たのよ」
「えーと……」
呟きながらキョロキョロと辺りを見回すと、遠くの方に小さなドーム型の建物が見えた。指差して、
「多分、あれだと思う。あのドームの……」
すると、案の定、建物の内部に移動していた。直後、背後から壱伊の呆けたような声が聞こえてきた。
「あー……なるほど、こういうことか。完全に瞬間移動だな」
「これもフィールド効果の一種なのかな」
「かもな。対象物に意識を集中させるとそこに行けるようになってんだろ」
「便利だなぁ」
感心していると、突然壱伊が叫んだ。
「てことは、俺飛び降りる必要無かったんじゃん!!」
「あぁ……。そうなる、かな」
「危険を冒して頑張ったのに!!」
「それは感謝してる。でもさ、このこと知っていても飛んだんじゃないの?」
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