不本意な結果における形骸化された議論の結末

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「まず、演劇やりてー奴。前出て名前書けー」  黒板に「演劇組」と書きながら加藤が指示すると、一人の生徒が不満そうに尋ねた。 「先生ー。なんで演劇からなんスかー?」 「あぁ? どーせ、お前らの大半は屋台組希望だろ。演劇組から希望取らないと、名前書くだけで時間かかるだろーが。わかったら、とっとと名前書けー」  ぞんざいに答え、強く手を叩いて促すと、数人の生徒がおずおずと前に出て名前を書き出した。  その中に、安達もいた。 「へぇ。アイツ、演劇なんだ」  恥ずかしそうに俯いて歩く安達を目で追いながら壱伊は呟いた。  その声に気付き、硅が振り返る。 「なに?」 「いや」  演劇組希望者は、二十八名中僅か五名。  それを見て、加藤はわざとらしく深い溜め息をついた。 「お前らなぁ……。もっとこう、協力しようって気ィ無いのか? 五人って。いくらなんでも少な過ぎだろ」 「先生、屋台の方どーすんのー? やっぱ、ジャンケン?」  加藤のぼやきを無視して生徒が尋ねると、 「そんな面倒で時間がかかることするか。一瞬で決めてやる。ちょっと待ってろ」  ニヤリと笑ってそう言い残し、彼は教室を出て行ってしまった。  突如ざわめき出す室内。硅と壱伊も困惑して互いの顔を見合わせていた。 「どうしたんだろうね。カトセン」 「さぁな。それよか、確かに五人は少ねーよな」  黒板を眺めて壱伊がそう言うと、硅は悪戯っぽく微笑んだ。 「なんだ。イチ、実は演劇したいんじゃないの?」 「はぁ?」 「何だったら、今からでも名前書いてきたら?」  からかう硅を呆れ顔で見やり、壱伊は椅子の背にもたれた。 「ばーか。台本なんか覚えられる訳ねーだろ」  あまりにも堂々としていたので、硅は一瞬虚を衝かれた。が、すぐに気を取り直して答える。 「確かにね」 「だろ? 俺の脳みそ、ナメんなよ」  などと、くだらないことを話しているうちに、加藤が戻って来た。  
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