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はっきりと、そう告げた。
少年の心に、迷いが生じた。
目の前の女の子は、今現在の自分の恋人よりも美しい女の子。いや、比べ物にならないかもしれない。
自分には恋人がいる、という事を意識しすぎなのかもしれない。こんな美少女を恋人に持てるのならば、生活が一気に薔薇色に変わるのではないか。
それに、最近は今の彼女ともマンネリ気味だし。
「……わかった」
少年は、その告白に応えることにした。今の彼女には、後々話をつけよう。それで万事解決だ。
が――。
突然、空気が変わった。
「……ふふ、ふふふふふふ」
笑っていた。少女の口から漏れた声は、先ほどの嗚咽とは正反対の、笑い声だった。
「もう、出てきてもいいですよ」
少女のその声の合図とともに、屋上のドアが重々しい音とともに開かれる。
そして、姿を現したのは――
「う、うげっ!」
少年の彼女だった。
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