さまーばけーしょん

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 見るもの全てが、二年前のままだった。何も変わらない。緩やかな、時間さえ流れていないのではないか、という錯覚すら覚える。  日々移り変わる新たな風景に翻弄される都会にはない、「安らぎ」がこの町にはあった。  ――いつでも、迎え入れてくれる――。  ここにはそんな安心感があった。 「で、でもでも! あたしはちゃ~んと変わったよ? もう、大人の女だもーん!」  どこが? と口を滑らせそうになった旬だが、慌てて口を閉ざし、その言葉を飲み込んだ。 「う、うん。そうだね」  夏月にいたっても、二年前と変化がないように思えてならない、旬だった。  結局、伯父の家に到着する頃には、空を夕焼けが飾っていた。というのも、夏月の「おとなのかいもの」なる寄り道に付き合わされていただけだが。  だが、久々に帰ってきた故郷の町並みが変わっていない事を再度確認できたというのも、また事実だった。 「ただいまっ!」
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