第3話:夏大はじまる

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スタンドに行った菜摘は興奮していた。 うちの応援席がいっぱいになっていたからだ。 チアリーディング部や、吹奏楽が準備をしている。 父兄や学校の生徒達も数多く来てくれてる。 なんだか、うれしくなって涙が出てくる。 これぞ、高校野球って感じだ。 あたしがずっと夢を見てた舞台だ。 体が震えるのがわかる。 「菜摘~」 呼ばれた声に振り返る菜摘。 「あ、美春ちゃん」 三浦美春。チアリーディング部で高校に入ってから仲良くなった友達だ。 「見て見て似合う?」 美春はチアリーディングのユニフォームをみせびかしてきた。 「う、うん。可愛い」 「へへっ」 美春はうれしそうにしていた。 「今日勝てば、ベスト8だね」 「うん」 「今日の相手って強いの?」 「強いよー。過去には甲子園にも出場してるしね」 「そうなんだ。勝てるかな?」 「勝つよ。約束してくれたから」 「約束って誰としたの?」 「内緒」 「え~、教えてくれてもいいのに~」 「ふふっ、教えな~い」 「まぁ、菜摘の本命はやっぱ野球部にいたか」 「そ、そんなんじゃないって」 「赤くなってるよ」 「うそ!?」 菜摘は思わず、顔を触って確かめていた。 「うそ~」 「美春ちゃん、ちょっとからかわないでよ」 「あはは、あっ選手達出てきたよ」 菜摘はグランドへと目を移した。 そして、祈らずにはいられなかった。 みんな頑張れ。
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