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スタンドに行った菜摘は興奮していた。
うちの応援席がいっぱいになっていたからだ。
チアリーディング部や、吹奏楽が準備をしている。
父兄や学校の生徒達も数多く来てくれてる。
なんだか、うれしくなって涙が出てくる。
これぞ、高校野球って感じだ。
あたしがずっと夢を見てた舞台だ。
体が震えるのがわかる。
「菜摘~」
呼ばれた声に振り返る菜摘。
「あ、美春ちゃん」
三浦美春。チアリーディング部で高校に入ってから仲良くなった友達だ。
「見て見て似合う?」
美春はチアリーディングのユニフォームをみせびかしてきた。
「う、うん。可愛い」
「へへっ」
美春はうれしそうにしていた。
「今日勝てば、ベスト8だね」
「うん」
「今日の相手って強いの?」
「強いよー。過去には甲子園にも出場してるしね」
「そうなんだ。勝てるかな?」
「勝つよ。約束してくれたから」
「約束って誰としたの?」
「内緒」
「え~、教えてくれてもいいのに~」
「ふふっ、教えな~い」
「まぁ、菜摘の本命はやっぱ野球部にいたか」
「そ、そんなんじゃないって」
「赤くなってるよ」
「うそ!?」
菜摘は思わず、顔を触って確かめていた。
「うそ~」
「美春ちゃん、ちょっとからかわないでよ」
「あはは、あっ選手達出てきたよ」
菜摘はグランドへと目を移した。
そして、祈らずにはいられなかった。
みんな頑張れ。
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