第3話:夏大はじまる

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倉(3番だけど、スクイズあるかな?まだ、初回だし一点もやらない方向で行こう) 倉橋は内野を前進させた。 加(スクイズ警戒の前進守備か) 加山はチラッと監督の方を見た。 埼玉栄の監督はサインを出している。 加山はこくりと頷き、ヘルメットの鍔をきゅっと触った。 倉(スクイズを警戒して初球は様子見として外してみるか) 倉橋は大葉にサインを送る。 大(一球外せ?3番がスクイズやってくるかな) 倉(念のためだよ。様子見だ) 大(まぁ、先輩に従いますけど) 大葉はこくりと頷いた。 倉橋は立ち上がり、構えた。 加(バカな奴らだ。わざわざ、カウント悪くして自分の首を絞めるとはな) 大葉は倉橋のミット目掛けて、外して投げた。 倉(やっぱり、スクイズはないのか?もう一球様子を見てみるか) 2球目も同じように、外した。 カウントは0-2。 倉橋(スクイズはないのか?次は座るが、外に外してみよう) 倉橋は外のボール球を要求した。 加山は見逃し、カウントは0-3。 倉(さすがに、フォアボールは出したくないな。ノースリーだし、ここは見てくるはずだ。なら、ど真ん中に全力で投げてこい) 大葉はこくりと頷き、セットポジションに構えた。 大葉は力いっぱいに、倉橋のミット目掛けて投げた。 加(予想通り!) キィン。 加山が打った打球はレフト方向へと飛んだ。 倉「レフトー!!!」 倉橋が叫ぶ。 倉(ダメだ。落ちる) 3塁ランナーの中田も落ちると判断すると、ホームに向け走り出した。 ボールはレフトの手前に落ちた。
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