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あれからどれぐらいたったんだろう…ずっとここにおしこまれたたままでつきひがたつのもわからなくなっちゃった……だれとあうこともな…ううん…あのこはまいにちごはんをとどけてくれてたっけ…でもあのこのあのめは…なんだか…いや……
もう…いやだよ…だれかここからだして…わたしを…じゆうにしてよ…
全ての力を使い、大妖狐の娘は逃げ出した。燃やした…自由を得るために死に物狂いで全てを燃やした…。
しかし、一匹の犬神は大妖狐の娘を逃がさず狙いを定めると、
「破邪走行・発露×1、紅!」
紅き炎の球がようこを燃やした。煙が巻き起こり、犬神は大妖狐の娘の姿を見失ったが手応えがあったのにやや心を痛めながらも大妖狐の娘の姿を探した。
(いたい…いたいよ…どうしてわたしだけこんなめにあわなきゃいけないの…)
紅の直撃を避けたものの動けるような状態ではなかった。大妖狐の娘は身を縮め、まるで子犬のように身を震わせていた。
(またあんなふうにいきるくらいなら…このまましんだほうが…らく…なのかな…)
目を閉じ、意識を失いかけたその時目の前に何者かが現れた。大妖狐の娘はピクッと反応し、必死に睨めつけた先に立っていた相手は…小さな人間の子供だった。
大妖狐の娘は一瞬気を緩めたがすぐさま睨めつけたが、人間の子供は怯えるようすもなく近づいてきて、
「おまえ…けがしてるのか?」
そっと頭を撫でてきた。
呆然とした。わけがわからなかった。どうして大妖狐の娘である私にこんな接し方をしてくるのか…そんな想いを巡らせていると、
「おまえ、おなかすいてないか?これたべるか?」
背負っていたバックから取り出したのは初めて見る食べ物だった。臭いを嗅いでからパクッと食べた。
(…おい…しい…)
よくわからないけどすごく美味しかった。すぐに食べ終えるとさらにその食べ物をバックから取り出してくれた。必死になって食べた。食べている様子を満足そうににっこり笑いながら頭を撫でてくれた。
「ごめんな、もうかえらなきゃいけないんだ…」
別れを惜しむように振り返りながら手を振って去っていった。
初めて涙が溢れた…。
(…なんなの…このきもち……かなしいわけじゃないのに…なみだがでてくる………あのこのて…あったかかった……しあわせ…これが…しあわせって…ことなのかな…)
その後すぐに大妖狐の娘は犬神達に捕らえてられた。
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