48人が本棚に入れています
本棚に追加
なでしことはなしをするようになった…。なでしこはたくさんのことをおしえてくれて…はなしをしているときのなでしこはなんだかうれしそうだった。わたしもこんなふうにはなしをするあいていなかったからすごくうれしかったし…たのしかった。これがともだち…っていうのかな?よくわからないけど…。
はなしをしてるうちにいろいろなことをしったんだ…そして…わたしがあるけついしたのもあのこがおしえてくれたからだったんだね。
「かわひら…けいた?」
口に出してみるとなんだか変な感じなのか小首を傾げていた。
「はい…確証はないですけど、あの森に入れるのは川平家の人間だけですし…その年頃の子供は川平家では啓太様だけだと思いますし…」
口元に指をあてながら考えるように話をするなでしこだがようこは話をほとんど聞いていなかった。そしてまた…、
「かわひら……けいた…」
呟く。何度も何度も呟いた。忘れないように…絶対忘れることはないが心に刻み込むように何度も呟いた。
「啓太様もいずれ犬神使いになるのでしょうね…」
「いぬかみつかい?」ピクッと反応し、呟くのをやめ、なでしこに顔を近づけて問いかけた。
顔を近づけられ少し驚きながらも微笑みながら、
「犬神使いというのは私達犬神の主になる存在です…誰でも主になれるわけではありませんし、主と認められなければ犬神は憑くことはありません……ですから犬神使いになるには過酷な修行をして己を鍛え、犬神に認められるよう努力をしなければならないみたいです……私は誰にも憑いたことがありませんからあまり参考になるような話ができないんですけど…」
申し訳なさそうに微笑むなでしこにようこは突然、
「いぬかみっていうのにはどうすればなれるの?」
真剣な眼差しでさらに顔を近づけた。
「えっ…それは…………大長老様と話をしなくては…私に決められることでは…ありませんから…」
口ごもり困ったように俯きながらも考え、ようこに伝えた。
「じゃあそのだいちょ~ろ~っていうのよんできて!いますぐ!」
あまりにも真剣な態度になでしこは断ることもできず、
「…わかりました。少し…待っていてくださいね」
「はやくしないといぶりだすからね!」
なでしこは苦笑しながらその場からトコトコと歩き、大長老の元へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!