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いぬかみになればあのこといっしょにいられる…ならぜったいぜったいなる!だれにももんくなんていわせない!たとえオトサンが…オトサンははんたいするとおもうけど……そんなのしらない!!!オトサンにだって…わたしのじゆうはうばわせたりなんて…させない!
「おそいよ!」
苛立ちを隠そうともせずキッと睨みつけた。
大長老となでしこが苦笑を浮かべながらも気にした様子もなく、
「すまぬな…急なことだったからさすがにすぐには動けなかったんだよ」
すまなそうに苦笑する大長老にやや調子を崩されるが、すぐに本題に入った。
「わたしはいぬかみになりたい!」
真っ直ぐに純粋な瞳で全ての想いを大長老にぶつけた。
大長老は目を反らさず、ようこの瞳をジッと見つめたまま考えこんだ。そして沈黙のあとに、
「ワシは良いと思う…大妖狐の娘とてその想いのほどはよくわかったからの……だが周りはそうは思わんじゃろ…一族の長として情けないとは思うが……あの大妖狐がワシらにどれほどの恐怖を与えたか…それはヌシもわかっているじゃろ?だからの…陰口…中傷…嫌がらせの類も受けるかもしれぬ…けして楽な道ではない……それでもヌシは犬神になろうというのか?」
大長老が問うが考える間もなく、
「なるよ!たいへんだろうがなんだろうがしらないよ…ぜんぶけちらしてでも…わたしはいぬかみになるんだ!」
迷いはない。怖くもない。そこに1つの光があるから…ようこの想いはただ純粋で真っ直ぐに…川平啓太へと向けられていた。
「うむ…わかった……ならばワシからはもうなにも言うことはない………なでしこさ…いや、このなでしこをヌシの教育係としてつける…しかと精進なされよ」
そう言うとシュッとその場から消え、なでしこがようこに歩み寄り、
「よかったですね、ようこさん♪では、及ばすながらこのなでしこが…教育係として犬神の心構えや常識を…ようこさん!?」
なでしこが微笑みながら話をするのも聞かずにようこは星空の下、夜空を飛び回った。
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