とある一日の猫の旅

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……?……かっ!いかん、喉が詰まるかと思ったわい。   舐めて毛並みを整えるじゃろ? そうすると抜けた毛が塊になって、喉で詰まったりするんじゃよ。   さて、気を取り直して集会所に向かうとしますか。 さて、集会所というのは何もテレビでよく見掛ける、大柄で音痴な男の子が土管の上に立って歌うような広場じゃないんだ。   いやまぁ時にはそのような場所でも開かれるが、本日の集会は定食屋の裏の路地のゴミ箱群の上と決まっているからの。 ん?やたら細かな場所設定だというのは気にするでないぞ?   問題はちと遠い事なのだよ。 新たに地区長に就任した若い猫の決定なんだよ。 まったく……我が輩はご意見番だから多少の遅刻は構わないものの、もう少し気を配る事は出来んのか。   ん?なんだよ、なっ、なんだよその目は? 人間の小僧で我が輩より身体がでかいからって威張るなよ。   ニャヌ?違うって? フムフム、その目は我が輩が何故このように、語学に長けていて物事を知っているかを教えて欲しいようだな?   教えてしんぜよう。 長年人間界の言葉を聞いていれば、猫といえどこのようになるんじゃよ。   勿論、人間の言葉を話せるようになったりという奇跡みたいな事は起きたりせんがな。   「えーん、ひぐっひぐっ、えーん」  
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