第1章 訪れの夜と交わした契り

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「ただいま」 「あ、ねーちゃんおかえり!」 「パスパス!こっち回せ」 門を開けて、チビ達に挨拶をする。最近サッカーが流行っていて、男の子達はみんな夢中みたい。 「ねーちゃんだ!おかえりー」 「ただいま、ユミカ」 出迎えてくれたユミカの頭を撫でてあげて、玄関に入る。靴を脱いで上がった先には、先生がいた。 「おかえり、深澄ちゃん。どうだった?」 洗濯物をたたんでいる先生に、歩み寄って挨拶する。 「ただいま、先生。友達出来ました。すっごい明るくて元気な子」 「まあ。そうなの?良かったじゃない」 たたみ終わったタオルや服を抱えて、先生が立ち上がる。すかさず私も、 「あ、手伝います」 そう言って真っ白に洗い上げられたタオルを受け取る。すると先生が、 「ありがとう。じゃあ棚にしまっておいてね」 「はいっ」 私は返事をして、脱衣所のほうへと足を運んだ。        ◆ そうやって手伝いやらチビ達の相手やらをしていたら、いつの間にか夜になっていた。 私は服を着替えて、薄い紺のチュニックにはんぱ丈のズボンという格好でいる。 「じゃあお皿、これとこれ拭いたら持っていってね」 「はい」 夕食の後片付けをして、私は洗い終わった食器を拭く。 その間にチビ達は飛行機ごっこをしながら走り回っていて、なんだか微笑ましかった。 「終わりました」 濡れた布巾をたたんで置いて、テーブルを拭いている先生の所にいく。 「ありがとね。もう戻っていいよ」 仕事はもうないみたいなので、はいと返して部屋に戻る。 私の部屋は三人部屋で、カズホとユミカと一緒に寝ている。 けれど部屋を開けても、誰もいない。当人たちは仲良く飛行機ごっこに加わっていた。 「あ…そう言えば消しゴムとノート、切れてたんだ」 思い出して、私はリビングに行って先生に説明しお金を貰う。 「暗いから気をつけてね」 「はいっ」 返事をし、靴を履いて玄関を出る。外は確かに真っ暗で、夜空には月や星達が光を放って輝いていた。 「コンビニでいっか」 とりあえず一番近くにあるコンビニエンスストアへと足を運ぶことにした。 それから買い物が終わって、生暖かい夜風にあたりながらのんびり帰っていたとき、 「ん…?」 通りかかった公園に、子供がいた。
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