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世界が真っ白になった。
時が止まった気がした。
…助けて!!
固く目を瞑った時、
ダアアン!!
轟音。
「…は」
目を開けると、其処に獣は居なかった。
見下ろして、地面に在ったのは…子供の死体。
「ーーいやあぁッ!!」
悲鳴を上げて地面に座り込み、土に染み広がってゆく黒い液体に震える。
「ふぅ…危機一髪、ですか」
ジャリッ、と足音がして、顔を上げた先に居たのは…皆守くんだった。
「え…」
灰色のシャツに黒のスラックスで、右手に黒い艶の入った銃を握っている。
「…特殊結界、展開。この公園内への人間の侵入禁止、及び音声を遮断する」
皆守くんが左手を空に掲げる。
フィン、と変な音がして、公園の外の景色が曇っていく。
「何で皆守くんが…?それに、この子は…」
訳が解らない。
何でこの子供は私を襲ってきたの?
それに、何で皆守くんがこの子を殺したの?
「この子供は人間ではありません。…怪魔(ケマ)と呼ばれる怪物です」
「怪物…?」
私を見下ろし、見据える皆守くんは、とても凛々しくて、学校とは違う感じがした。
「…それより、来ますよ」
くるっと皆守くんが後ろを向いて、銃を構える。
ぎ、ぎぎぎ…と、不可解な音。
それから地面が揺れて、何メートルか前にある空間が、空気が、…裂けた。
「な…っ!何アレ…!?」
広がってゆく縦の裂け目から、人のようなものが這い出てきた。
…いや、人なんかじゃない。
人の大きさをした赤いヘドロみたいなのが、呻きを漏らしながら何体も何体も近付いてくる。
「ひっ…」
「神器の匂いを嗅ぎつけたか」
皆守くんがそれに銃を構え、狙いを定める。
ダアアン、とまた轟音がして、歩くヘドロが弾ける。
ぴちゃっと飛び散ったそれは灰になり、さらにもう一体が歩み寄ってきた。
ダンッ、ダンッ、
無言で連射を続け、彼は赤い怪物を倒していく。
数回の轟音が公園に響いた後、瞬く間に這い出ていた怪物は消えた。
「…親玉が来るな」
そう呟くと皆守くんは、座り込んでいる私に手を伸ばした。
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