第1章 訪れの夜と交わした契り

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世界が真っ白になった。 時が止まった気がした。 …助けて!! 固く目を瞑った時、 ダアアン!! 轟音。 「…は」 目を開けると、其処に獣は居なかった。 見下ろして、地面に在ったのは…子供の死体。 「ーーいやあぁッ!!」 悲鳴を上げて地面に座り込み、土に染み広がってゆく黒い液体に震える。 「ふぅ…危機一髪、ですか」 ジャリッ、と足音がして、顔を上げた先に居たのは…皆守くんだった。 「え…」 灰色のシャツに黒のスラックスで、右手に黒い艶の入った銃を握っている。 「…特殊結界、展開。この公園内への人間の侵入禁止、及び音声を遮断する」 皆守くんが左手を空に掲げる。 フィン、と変な音がして、公園の外の景色が曇っていく。 「何で皆守くんが…?それに、この子は…」 訳が解らない。 何でこの子供は私を襲ってきたの? それに、何で皆守くんがこの子を殺したの? 「この子供は人間ではありません。…怪魔(ケマ)と呼ばれる怪物です」 「怪物…?」 私を見下ろし、見据える皆守くんは、とても凛々しくて、学校とは違う感じがした。 「…それより、来ますよ」 くるっと皆守くんが後ろを向いて、銃を構える。 ぎ、ぎぎぎ…と、不可解な音。 それから地面が揺れて、何メートルか前にある空間が、空気が、…裂けた。 「な…っ!何アレ…!?」 広がってゆく縦の裂け目から、人のようなものが這い出てきた。 …いや、人なんかじゃない。 人の大きさをした赤いヘドロみたいなのが、呻きを漏らしながら何体も何体も近付いてくる。 「ひっ…」 「神器の匂いを嗅ぎつけたか」 皆守くんがそれに銃を構え、狙いを定める。 ダアアン、とまた轟音がして、歩くヘドロが弾ける。 ぴちゃっと飛び散ったそれは灰になり、さらにもう一体が歩み寄ってきた。 ダンッ、ダンッ、 無言で連射を続け、彼は赤い怪物を倒していく。 数回の轟音が公園に響いた後、瞬く間に這い出ていた怪物は消えた。 「…親玉が来るな」 そう呟くと皆守くんは、座り込んでいる私に手を伸ばした。
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