第1章 訪れの夜と交わした契り

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「月影さん、立って。…僕から離れないで下さい」 「あっ…う」 ぐいっと腕を引っ張られ、噛まれた傷が鈍く痛んだ。 「怪我をしたんですね…我慢して」 立ち上がって、皆守くんの腕の中に収まる。…なんか本当に守られてるって感じ。 …すると、さっきまで赤いヘドロが這い出ていたあの裂け目から、黒い手が伸びていた。 「まだ、来るの…」 「…」 皆守くんは光沢の施されたその銃を裂け目に向け、まず一発放つ。 ダアアン、と耳をつんざくような轟音と、弾丸を飲み込んでいく裂け目。 「足りるかな…予備を持ってくるんだった」 ボソッと呟いて、皆守くんが胸ポケットから弾丸を取り出し、銃のなんか変な穴の開いた回す部分にはめ込んだ。 カチッとなんか音がして、皆守くんが銃を裂け目の方に再び構える。 …今思えば銃刀法違反じゃ? 「…オ…オオオ…」 奇声を上げて裂け目から這い出るのは、黒い影のようなもので、中央に小さな穴みたいなのが2つあった。 グシャ、ベキッと鈍い音がして、その黒い化け物から無数の脚みたいな物が生える。 ちなみにその怪物は、三メートル位の大きさだった。 「キツいかも…」 そう言うと気だるそうに皆守くんは引き金を引いて、まだ完全に地に降りてない怪物に銃を連射した。 「グゥアアア!!」 その衝撃で裂け目からドシャ、っと怪物が地面に落ちる。 「ひゃ!?」 グラッと地面が揺れた。 ダンッ、ダンッ 地面を這っているその不気味な黒い巨大な影に、皆守くんはまだ発砲している。 ダン、カチッ、カチッ。 「…ちっ」 やがて弾が無くなって、カチャカチャという音だけがする。 化け物はまだ生きているのか、ふしゅううと荒い呼吸をしてこっちに近付いてきた。 ドス、ドスと歩く度地面が揺れて、間合いが狭まっていく。 「…ヤバいです」 そんな時、皆守くんがぽつりと漏らした。え?、と私が聞き返すと、 「武器がありません」 真顔で皆守くんが言った。 …ええぇーーー!?
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