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え?
何だコレは。
「ふ…」
皆守くんの舌らしきモノが口内に侵入してくる。
口の中に苦い鉄の味がして、喉の奥まで舌を突っ込まれたせいで呼吸が苦しくなった。
「…っ」
ごくん、と唾液と血の混じったものを飲み下して、やっと皆守くんが解放してくれた。
「う…っ」
私は何が起きたのかわからなくて、ぼんやりしたままで皆守くんを見つめる。
「契約は完了した。…只今を以て、神器月詠の操者を皆守千郷とする」
すると皆守くんは右手を突き出して、私の方に伸ばした。
信じられない。
皆守くんの手が、私の胸の中に入ってってる。
「ん…っ」
何かを抉られるような痛みに私は呻いて、それから手が引き抜かれていく。
皆守くんの手には光が握られていて、やがてそれは伸びて鎌の形になった。
「ほう…鎌と来ましたか」
包んでいた光が消え、白銀の刃が現れる。柄の先には長い鎖も付いていた。
「ゥアォオォッ!!」
奇声を発して怪物が飛び込んでくる。
皆守くんはその怪物を、鎌の一振りで二つに裂いた。
「おお。すごい」
彼は平然とそんな事を言って、ドシャっと怪物が地面に崩れた。
すかさずそれに刃を突き立てて、
ジャッ!!
布を引き裂くような音がして、その怪物は動かなくなった。
「…やったの?」
やがてドロドロと黒い影が溶け、液体になって地面に染み込んでゆく。
…倒したんだ。
「やりましたね」
皆守くんは私に笑いかけると、鎌を持ったまま歩み寄ってきた。
「ううん…戦ったのは皆守くんだよ」
私も笑いかける。
…ん?
「…あ!!」
「なんですか」
飄々としてるコイツを見て思い出した…ッ!!
「よくも私の初キスを…」
「ああ、初めてでしたか。それはごちそうさまでした」
にっこりと笑顔で返される。
「何がごちそうさまだっ!てかその鎌なによ!?」
ムカついてギャーギャー喚き散らす。すると皆守くんはきょとんとした顔で、
「何って…貴女の神器ですよ」
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