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「…え?」
叫ぶような少年の声に、私は振り返る。
そこには、…って篠塚くん!?
「お兄ちゃん」
「良かった…ここにいたのか。病室行ったら居なかったから…」
走っていたのか、肩で息をしながらふらふらと篠塚くんがこちらに来る。
「あれ、月影…?」
あれ、って言いたいのはこっちですが。
「お知り合いなんですか?月影さん、彼は僕らと同じ様にチェインの構成員ですよ」
「戦闘専門のな」
そう言いながら篠塚くんは少年の方に駆け寄り、それから私を見て、
「お前が神器だったのか…改めてよろしくな、月影」
「あ、うん…」
「ぼくは篠塚万琴(シノヅカマコト)です。よろしくお願いします」
男の子がぺこりとお辞儀する。私も、
「私は月影深澄です。よろしく万琴くん」
「はいっ、深澄さん」
素直で可愛いなぁ…
万琴くんの丁寧っぷりに思わず頬が緩んでいた時、
「俺と万琴は兄弟なんだ。こいつは小学二年生」
篠塚くんが穏やかな表情で万琴くんの頭を撫でる。…学校とは全然違う、優しい感じだ。
「祈零はブラコンなんですよ」
皆守くんがにこーっと微笑んで言った。
篠塚くんは眉間にシワを寄せ、
「てめぇに言われたくねぇよ。別に良いだろ」
ふてくされると、篠塚くんは背中から万琴くんに抱きついた。身長差がかなりあるので、万琴くんの顔が篠塚くんのお腹くらい。
「お兄ちゃんはぼくが体弱いから、心配性なだけだよ」
「…万琴くん、体どこか悪いの?」
俯く彼に、私は中腰になって同じ目線で尋ねた。
「ん…僕、心臓に穴が空いてるんだって。それに、肺とかがちょっと弱いらしいんだ。…だから、学校行けなくて」
「そっ…か…」
だから、ここにいるんだ。
私は万琴くんの頭を撫でると、話してくれてありがとう、とお礼を言った。
「えへへ…」
無邪気な笑みを浮かべるこの子は、病気と必死で闘っている。
なんか、すごいな…
私が無邪気な万琴くんの笑顔を眺めながら、そんな事を思っていると、
「皆さん…こんな所で何してらっしゃるんですか?」
「あ、まこだ」
声がして、顔をあげると、外国人みたいな容姿の少年とまだ中学生位の女の子がいた。
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