第3章 住人達とご対面

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「…え?」 叫ぶような少年の声に、私は振り返る。 そこには、…って篠塚くん!? 「お兄ちゃん」 「良かった…ここにいたのか。病室行ったら居なかったから…」 走っていたのか、肩で息をしながらふらふらと篠塚くんがこちらに来る。 「あれ、月影…?」 あれ、って言いたいのはこっちですが。 「お知り合いなんですか?月影さん、彼は僕らと同じ様にチェインの構成員ですよ」 「戦闘専門のな」 そう言いながら篠塚くんは少年の方に駆け寄り、それから私を見て、 「お前が神器だったのか…改めてよろしくな、月影」 「あ、うん…」 「ぼくは篠塚万琴(シノヅカマコト)です。よろしくお願いします」 男の子がぺこりとお辞儀する。私も、 「私は月影深澄です。よろしく万琴くん」 「はいっ、深澄さん」 素直で可愛いなぁ… 万琴くんの丁寧っぷりに思わず頬が緩んでいた時、 「俺と万琴は兄弟なんだ。こいつは小学二年生」 篠塚くんが穏やかな表情で万琴くんの頭を撫でる。…学校とは全然違う、優しい感じだ。 「祈零はブラコンなんですよ」 皆守くんがにこーっと微笑んで言った。 篠塚くんは眉間にシワを寄せ、 「てめぇに言われたくねぇよ。別に良いだろ」 ふてくされると、篠塚くんは背中から万琴くんに抱きついた。身長差がかなりあるので、万琴くんの顔が篠塚くんのお腹くらい。 「お兄ちゃんはぼくが体弱いから、心配性なだけだよ」 「…万琴くん、体どこか悪いの?」 俯く彼に、私は中腰になって同じ目線で尋ねた。 「ん…僕、心臓に穴が空いてるんだって。それに、肺とかがちょっと弱いらしいんだ。…だから、学校行けなくて」 「そっ…か…」 だから、ここにいるんだ。 私は万琴くんの頭を撫でると、話してくれてありがとう、とお礼を言った。 「えへへ…」 無邪気な笑みを浮かべるこの子は、病気と必死で闘っている。 なんか、すごいな… 私が無邪気な万琴くんの笑顔を眺めながら、そんな事を思っていると、 「皆さん…こんな所で何してらっしゃるんですか?」 「あ、まこだ」 声がして、顔をあげると、外国人みたいな容姿の少年とまだ中学生位の女の子がいた。
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