第3章 住人達とご対面

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「百重に若葉さん…任務終わったんですか」 皆守くんが白い髪の男の子に話し掛ける。 「ん。楽勝」 にーっと男の子が笑みを浮かべて、後ろの女の子を見やる。 「若葉ちゃんが強いから、たすかる」 「いっ、いえ!百重さんの神器あってこそです。私の力など微力ですから…」 若葉と呼ばれた女の子は畏まって、頬を染めながら俯いた。 切りそろえられた前髪に、黒い髪を上の方で一纏めにしている。凛とした感じの子だ。 「いつもどおりだな」 篠塚くんが呟き、 「えと、それよりも…こちらの方はどなたでしょうか」 女の子がおろおろしながら皆守くんに聞く。多分私の事を聞いてるんだろう。 「神器…月詠(ツキヨミ)の保持者ですよ。ちなみに操者は僕です」 操者って…なんかちゅーされた時にほざいてたような。 「この方がですか?…あ、えと、お初にお目にかかります。私は青柳若葉(アオヤギワカバ)と申します。年は13です」 若葉と言った子がぺこりと丁寧にお辞儀をする。 「ああ、私は月影深澄です。年は15。よろしく若葉ちゃん」 「今日は自己紹介が多い日ですねぇ」 私が言い終えて、小声で皆守くんがそんな事を言った。私はそれを無視して微笑む。 「はいっ、よろしくお願いします、深澄さん」 若葉ちゃんが笑った。 …年下って可愛いよね。 「ちなみにおれは鷺浦百重(サギウラビャクエ)。よろしく月影さん」 白い髪の男の子が微笑んだ。 「うん。よろしくね鷺浦くん」 鷺浦くんは白い、銀色がかった少し長めの髪で、前髪は全体的におでこを隠している。 神秘的な雰囲気を纏った男の子だ。 「百重さんはクォーターなんだって。どこかはわかんないけど…」 万琴くんが教えてくれた。だからなんかちょっと違う感じがするわけか。 「うん。生まれも育ちも日本なんだけどね」 苦笑しながら鷺浦くんが返す。すると皆守くんが、 「多壱はどうしたんですか?…任務に?」 「はい。日輪の監視を命じられているようです」 ひわ…? なんだそれ、と思ったけど、なんか仕事の話っぽかったので聞かなかった。 「ちなみに千郷さんと深澄さんにも仕事入ってますよ。綾倉橋付近に怪魔が出現したみたいです」 若葉ちゃんがきびきびと言葉を紡ぐ。…え?ちょっと待って仕事?
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