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◆
…ずっと沈黙しながら、私達は若葉ちゃんが言っていた大きな橋…綾倉橋に着いた。
「…居ないみたいですね」
橋を見渡しても、怪物はいないようだ。
「まさか住宅地の方に出ちゃったとか」
私が怪訝な顔で呟くと、
「いや、無いと思いますよ。住居一帯には結界を張ってますし。怪魔が動ける範囲は決まってますから」
「じゃあ…」
何処に居るんだろう、と言おうとして、私は橋の柵に手をかける。
下に流れている川を見下ろした時…異変に気付いた。
「皆守…くん」
ふいに彼の名前を呼んだ。
「どうしました?」
すぐに彼が歩み寄って来て、
「川に、変な裂け目がある…」
「な」
言った瞬間、下から何かが飛び出して来た。
「ひゃ…!」
腕をぐいっと掴まれて、私は皆守くんの方に引っ張られた。
「ちっ…空間の異常があんな所にあったとは」
拳銃を取り出し、皆守くんがそれを構える。
安全装置らしいものを外し、まず一発。
ダァアンッ!!
「…っ!」
私は同時に耳を塞ぎ、くぐもった轟音。弾丸が唸りを上げる獣みたいなモノに命中した。
「グワァァォッ!!」
ブシャッと腹から黒い液を吹き出したが、銃弾は体を貫通せずに肉に埋まった。
「お硬い体してるんですね」
ダンッ、ダンッ、ダンッ…
連なった轟音に、弾が当たる度怪魔が僅かに振動する。
ちなみに肉に埋まった弾丸がデカい。あんなのが高速で当たったらひとたまりもないだろうな…
「…しかしこんだけ銃連射してて人こないのかな」
「防音結界張ってるんで大丈夫ですよ」
…便利な世の中だな。
「耳塞いどいて下さいね。僕から離れないで」
「ん…」
レンコンみたいに穴の開いた…えーっと、リボルバー?に弾を詰めながら、皆守くんが言った。
カチッ。
音と共に、再び銃を構える。
怪魔は四肢に連射を叩き込まれて動けなくなっていた。何気に的確に命中してますよ。
「ほぁ…」
やっぱスペシャリストだなぁ。
狙いを定め、引き金を引いた。空気を貫いて音を立てる銃弾は怪魔の胸を抉る。
「ヴ…ヴォ…ァ」
口から黒い液を吐き、その獣は断末魔を上げて地に伏した。
「倒しちゃった…」
私は安心感で腰を抜かしてしまい、座り込む。
皆守くんも銃を下ろし、じっと前を見据えている。
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