第4章 一緒に登校、一緒に下校

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「あったりぃ♪」 明日菜はそう言うとぱっと背中を離し、私はハグから解放された。 「あ、皆守くんもおはよ!」 「おはようございます、陽向さん」 気付いた明日菜が皆守くんに挨拶し、彼も微笑み返す。私はその傍らで上履きを履き、 「ったく…朝から元気ね」 呟きながら振り返って、彼女の方を向く。 「…って」 …後ろに立たれて居るときには見えなかったけど、明日菜は太ももに大きなガーゼを貼っていた。 「あんた、どうしたのその脚」 よく見ると、靴下で隠れている部分にも湿布のようなものが見える。 「ぇ?あ、ちょっとすっ転んでさぁ」 あははは、と笑いながら明日菜が言った。…やりかねなさそうだけど、転んでこんな風になるか? 「…」 隣の皆守くんが、何故か怪訝な顔をしていた。 「…じゃ、僕先行ってますね」 言い残し、彼は足早に去っていく。私は黙って背中を見送るだけだった。 「わたしたちも行こう?」 明日菜が促したので、私も頷いてゆっくりと歩き出す。 「大丈夫なの?痛くない?」 途中で聞いたけれど、明日菜は全然平気と言ってまた笑う。 その笑顔が無理をしているように見えたのは、気のせいだろうか。 「う~…今日寝坊して朝ご飯食べてないよ~」 「昼までガマンだねぇ…ちゃんとお弁当持ってきた?」 「コンビニでパン買ってきた。グラタンコロッケ!」 「グラタン入ってんだ」 他愛ない話をして、和やかな気持ちになる。 おしゃべりをしている時の明日菜はいつも通り明るくて、楽しい雰囲気にさせてくれるのに… 私はこの子に何か、違和感のようなものを感じていた。
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