第4章 一緒に登校、一緒に下校

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       ◆ ざわざわと喧騒が耳につく昼休みの教室で、千郷は問うた。 「じゃあ…確認したんですか」 その言葉に、問われた少年が苦虫を噛み潰したような表情で顔を横に振る。 「当たりだった」 少年らで囲んでいる机に乗せた拳を握りしめて、言った。 「本当に見たんだな、多壱」 千郷の横…廊下側の端に椅子を置き、サンドイッチをかじる祈零が尋ね返す。 「見たよ…男親らしい奴が、殴ってたんだ。何度も…」 多壱と呼ばれた黒髪の少年は、そう言うと唇を噛みながら俯いた。まるで何かを悔やんでいるかのように。 「…日輪と接触を図れ、が設楽さんの命令だ。君の任務」 静かな澄んだ声で百重が告げると、多壱はわかってる、と返事をする。 「やり遂げるさ。…だから俺達はチェインに居るんだ」        ◆ 「ふわぁ…」 放課後。 私はついさっき授業が終わり、気の抜けた欠伸をしていた。 なんたっていい天気だし暖かいし、春は眠い。 「月影さん」 「うぃ?」 うーんと大きく背伸びをしていると、横から皆守くんが話しかけてきた。 「今日は一緒に帰りませんか?話したいこともありますし」 「え…別にいいけど、明日菜も一緒だよ?」 そう言った直後、本人がご登場した。 「深澄ちゃん、かえろー」 鞄を持ち、テケテケと歩いてくる。 「明日菜、今日はみな…むぐっ」 「ごめんなさい陽向さん。僕、月影さんに用事があるので…先に帰ってもらえますか」 後ろから口を手で塞がれて、私は黙った。明日菜はへ?と小首を傾げたが、 「うん、わかった。二人ともまたね」 そう言うと手を振って去っていく。皆守くんはやっと手を離し、私はぷはっと息を吸った。 「何すんのよ!!」 呼吸しながら怒鳴ると、皆守くんはいたって冷静な顔で、 「あの人に聞かれると困るんですよ」 有無を言わせない、冷酷な声で返した。 「…機密事項?」 「まぁ、そんな感じです」 「朝は思いっきり神器の話してたじゃない」 「あれはいいんですよ。…それに、端からじゃ何の話かわからない」 反論したけど、さらりと返されて私は黙る。 「今回はあの人…陽向さんについてですから」
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