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「ま、いわゆる幹部ですか。まぁただの変態ですけどね」
「そ、そうそう。幹部」
皆守くん、くるくると銃を回してます。
その横で設楽さん震えてます。
「へ、へぇ…若いのに幹部なんてすごいんですね」
私は若干引きつった顔で答えると、設楽さんが両肩を握ってきて、
「君…今夜俺の所に来ない?」
「誰かー、犯罪者がいますよーここに少女の純潔を奪おうとする変態がいますよー」
「なに漫才繰り広げてんだよお前らは」
ガチャッとドアを開けて入ってきたのは、祈零くんと知らない男の子だった。
「祈零じゃないか!!相変わらずメガツン」「果てろ変質者」
そう言うと祈零くんは廊下に上がり、きょろきょろと辺りを見渡す。多分万琴くんを探してるんだろう。
もう一人の黒髪の子は、名前は知らないけど…祈零くんや皆守くんとお昼一緒に食べてる子だ。
「あ」
目があって、私はこんにちは、と軽く頭を下げた。男の子も微笑んで返してくれる。…なんだか優しそうな人だなぁ。
「多壱、お帰りー」
「ただいま、設楽さん」
多壱って言うのか…。
ぼんやりその子の背中を見ていると、
「穂積多壱、あの人も構成員のひとりですよ」
「ひゃ」
いきなり皆守くんが後ろから肩に顎を乗せてきて、私は声を上げた。
「びっくりした…」
「びっくりさせました」
皆守くんは顎を離すと私の手を取って、
「じゃあ部屋に戻りましょー」
笑顔で引っ張っていく。
「あ~深澄ちゃん~」
遠くなった設楽さんが私を呼んでいたけれど、皆守くんが引っ張るので止まらない。
「あの人に何か言われたら、とりあえず殴って逃げて下さいね」
「…うん…」
いい人そうだけど、ちょっと扱いには困る。
「部屋に誘われても行っちゃダメですよ?襲われますからね」
「なっ…!?」
階段を上がって二階に着き、皆守くんが言った。私はそんな話を振られ、顔を赤らめてしまう。
「設楽さんはそんな事…」
大人なんだし、私なんかを連れ込むはずない。
「どうかな?それに…」
くすっと妖艶な笑みを浮かべ、皆守くんが私の髪を触った。
「…気を付けないと僕も、月影さんのこと食べちゃいますよ?」
「ーっ!?」
ぱっと髪を離し、皆守くんがまた微笑んだ。
「なーんて、よっぽどの事がないかぎり襲ったりしませんよ。赤くなってかーわい」
からかったなコイツ…
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