第4章 一緒に登校、一緒に下校

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私は皆守くんにムカッときたけれど、その言葉にちょっと安心した。 やっぱりそういうの…怖い。 「でも…」 皆守くんが近づいてきて、 「場合によっては狼になっちゃうかもしれません。基本僕Sなんで…覚悟して下さいね?」 耳元で、囁かれる。 何か変なモノがこみ上げてくるのがわかって、それが熱みたいに私の体温をまた上げた。 「…場合ってなによ」 微笑んでいる彼を睨みつけて、私は言った。抵抗のつもりだけれど、彼は全く気にしていない。 「そうですねぇ…あんまり可愛く泣いちゃったりすると押し倒しますし、言うこと聞かないとお仕置きします」 えげつないことをサラッと言うな! 「…皆守くんなんか大っ嫌い」 「真っ赤になって言われても、説得力無いですよ」 「もう知らないっ!」 「ご飯になったら迎えに行きますねー」 何であんな事言うんだよ!! ホントわけわかんないヤツだ。 階段をドタバタと上りながら、私は部屋に駆け込んだ。        ◆ 「可愛いなぁ」 走り去る少女の後ろ姿を見ながら、千郷は呟いた。 「なんだ千郷、また月影虐めたのか?」 「祈零」 階段を上ってくるメガネの少年に、千郷は振り向く。 「聞いてました?」 「話は聞こえなかったけど、月影が機嫌悪そうに走ってったからな」 ふぅ、とため息をつき、中指でずれたメガネを直す。そのまま階段を上りきって、 「可愛いですよね、あの人」 「可哀想だと思うけど」 「跪かせて泣かせたいです」 「てめーの性癖は聞いてない」 呆れながら祈零が千郷の隣を通り過ぎたとき、 「祈零」 「あ?」 名前を呼ばれ、振り返る。 「僕は人間ですか?」 その質問に、祈零は一瞬目を丸くした。 それから、 「…お前は人間だよ。鬼畜だけど、皆守千郷は人間だ」 そう言って去っていった。 ただの問いかけと、答え。 「…だといいな」 呟いて、千郷も歩き出した。
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