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しばらく歩いて、やっと寮の扉の前までたどり着いた。
(月光館学園、学生寮)
階段を登り、大きな扉を押す。
少しの力で扉は開き、僕は中へ吸い込まれる様に脚を踏み入れた。
中に入り、荷物を置くと、少年の様な声がした
「遅かったね、長い間、君を待っていたよ」
驚き、声がした方を見ると10歳位だろうか…、短い紺色の髪、白い肌、黒と白の縞模様の服を着た少年がフロントに両肘を就いて座っていた。
「この先に進むなら、この署名に名前を」
少年はフロントに置いてある朱色のノートの様な物と羽ペンを渡して来た
「…?」
僕は疑いの目を少年に向けながらもノートに署名した。
相沢 佑(あいざわ ゆう)
「…確かに」
少年は満足気な顔をし、
「恐がらなくていいよ。自分のとった行動に責任を取ってもらうって事だから」
と人差し指を立てて言い放った。
「………」
よく意味が判らず立ち尽くしていると、また少年が口を開いた。
「時はすべてのものに結末を持って来る。たとえ、目や耳を塞いでいてもね。
さぁ、はじまるよ…」
少年はそう呟き目を閉じ、後ずさり、月明かりの当たらない真っ暗な部分に消えていった……
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