Episode1~Opening~オープニング

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「到着が遅れたようだね」 後から現れた少女が口を開いた、声にはやはりなにか気品の様なものが感じられる。 「私は、桐条 美鶴(きりじょう みつる)この寮に住んでいる者だ」 丁寧に自己紹介され、僕が頷くと、岳羽という少女が口を開いた。 「…誰ですか?」 少女は美鶴に耳打ちするように手を当て、小声で言った。 「彼は転入生だ。ここへの入寮が急に決まってね…いずれ、男子寮への割り当てが、正式にされるだろう」 すると少女がまた小声で 「…いいんですか?」 美鶴は軽くあしらうように 「…さあな。」 と言った。 「彼女は岳羽ゆかり(たけば ゆかり)。この春から2年生だから、君と同じだな」 「…岳羽です」 ゆかりはおもいっきり不審な目を向けながら挨拶してきた。 「相沢です…よろしく」 僕が自己紹介するとキョトンした顔で 「あ、よ、よろしく」 と返してくれた。 そういえば… 「…なんで銃を?」 とゆかりに尋ねた。 「えっ…、あ、なんていうか、趣味っていうか…あ、いや、趣味なわけないや…ええと…」 岳羽が言葉に詰まると、美鶴が素早くフォローに入った。 「世の中物騒だからな。護身用といった所さ…勿論、弾が出る訳じゃない」 まだ納得できなかったが、これ以上は無駄と感じ、頷いた。 「今日はもう遅い。部屋は2階の一番奥に用意してある。荷物も届いているはずだ。すぐに休むといい」 このやり取りを見て、ゆかりが 「あ、じゃ、案内するんでついて来て下さい」 僕はゆかりの後に続き、階段を登って行った。
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