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ピピピ……。
枕元に置いた目覚まし時計が、朝を知らせてくれる。
私は欠伸をして、時計のボタンを軽く押した。
もう、朝かぁ……ふぁ。
午前6:00。下からお母さんの呼び声が聞こえた気がした。
カーテンを開けると、窓の外はすっかりと明るくなっている。
寝ぼけ目を擦りながら、手摺りを使って階段を降りる。
まだ重いまぶたを擦りながらキッチンへと向かった私に、廊下を歩いていると声がかかった。
「あら、おはよう」
「あ、おはよ……」
振り向くと、お母さんが仕事の服を着ていた。
「今日は起きるの、いつもより遅いのね」
何かあったの? と、聞かれているのは分かった。
だけど、私の方を見ないで話すお母さんには「別に」としか言わない。
「お母さんの方こそ、今日も早いんだ……」
「あのね、真理……」
お母さんは一瞬だけ私の顔を見たが、階段を上がって行ってしまう。
「本当は、あまり言いたくないけど……」
目でお母さん姿を追って階段を見上げる。
けれど、表情の分からない後ろ姿は、どこか寂しく感じる。
「お母さん、お父さんと離(はな)れたでしょう……」
「わかっ……」
わかってるよ、そんなこと……。
わざと聞こえないように、小さく言った。
もう、一週間も経つから……。
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