1、夢から

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ピピピ……。 枕元に置いた目覚まし時計が、朝を知らせてくれる。 私は欠伸をして、時計のボタンを軽く押した。 もう、朝かぁ……ふぁ。 午前6:00。下からお母さんの呼び声が聞こえた気がした。 カーテンを開けると、窓の外はすっかりと明るくなっている。 寝ぼけ目を擦りながら、手摺りを使って階段を降りる。 まだ重いまぶたを擦りながらキッチンへと向かった私に、廊下を歩いていると声がかかった。 「あら、おはよう」 「あ、おはよ……」 振り向くと、お母さんが仕事の服を着ていた。 「今日は起きるの、いつもより遅いのね」 何かあったの? と、聞かれているのは分かった。 だけど、私の方を見ないで話すお母さんには「別に」としか言わない。 「お母さんの方こそ、今日も早いんだ……」 「あのね、真理……」 お母さんは一瞬だけ私の顔を見たが、階段を上がって行ってしまう。 「本当は、あまり言いたくないけど……」 目でお母さん姿を追って階段を見上げる。 けれど、表情の分からない後ろ姿は、どこか寂しく感じる。 「お母さん、お父さんと離(はな)れたでしょう……」 「わかっ……」 わかってるよ、そんなこと……。 わざと聞こえないように、小さく言った。 もう、一週間も経つから……。
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