大巫女と開幕の祖

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 夏の日差しが眩しい。  流れ落ちる汗を無造作に拭き、石段を見上げる。 「うぅむ……段数が多いのう」  質素な身なり。  壮年を過ぎた、一人の男性。 ――しかし、そぐわぬ覇気 「直接会って、話さねばな」  観念したように、男性は石段に足を掛けた。 「―――――!」  僅かに走る衝撃。 「ふむ、これが噂に聞く結界か」  面白そうに周囲を見渡すが、当たり前ながら何も見えない。 「うぅむ……これが効けば良いのだが」  懐から取り出したのは、都では良く知られている五芒星を基調とした札。 「神道と陰陽道は似て非なるモノ……」  賭けに出てみた。 ――賭けの必要性は失せた  破邪の杜の結界が、解かれた。
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