102人が本棚に入れています
本棚に追加
夏の日差しが眩しい。
流れ落ちる汗を無造作に拭き、石段を見上げる。
「うぅむ……段数が多いのう」
質素な身なり。
壮年を過ぎた、一人の男性。
――しかし、そぐわぬ覇気
「直接会って、話さねばな」
観念したように、男性は石段に足を掛けた。
「―――――!」
僅かに走る衝撃。
「ふむ、これが噂に聞く結界か」
面白そうに周囲を見渡すが、当たり前ながら何も見えない。
「うぅむ……これが効けば良いのだが」
懐から取り出したのは、都では良く知られている五芒星を基調とした札。
「神道と陰陽道は似て非なるモノ……」
賭けに出てみた。
――賭けの必要性は失せた
破邪の杜の結界が、解かれた。
最初のコメントを投稿しよう!