大巫女と開幕の祖

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 玄関から長い廊下を歩いてゆく。  静けさが耳に痛い。 「……巫女は、ここに一人で生活しているのか」  呟きは、空気に溶ける。 「ここだ」 「ここは?」 「巫女がいる」  通されたのは、広い板の間。  夏の日差しに慣れた目には、薄暗がりも夜闇に等しい。 「失礼する」  声を掛けるも、返答は無い。  男性の横を霊使が通り抜け、奥へ飛んでゆく。  導かれるように足を踏み入れた瞬間――  光が散った。 「……巫女か?」  問い掛けに答えは無い。  更に歩を進めると、人影が見えてきた。
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