大巫女と開幕の祖

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「わざわざの案内、痛み入る」  男性が礼を言うも、巫女は尊大な態度を崩さない。 「入口で妙な真似をされても困るからじゃ」 「妙な真似とは……この札か」  懐から取り出して見せると、威圧感が増した。  我知らず、懐に戻す。 「巫女は、この札が嫌いか」 「均衡が崩れる」  短く答えると、巫女は座布団を指差した。  見れば茶も用意されている。 「む……済まぬ」 「用件は手短に言え」 「何故そのように急かすのだ」 「我は闇から狙われている」 「……鬼か」 「妖とも言うがな。先程結界を解いたゆえ、いつ入り込まれるとも知れぬ」 「その口振りでは、見張られているようだな」 「力弱くないモノが、見ておる」 「そうか……」  男性は茶に伸ばしかけた手を戻し、姿勢を正した。 「破邪の巫女に頼みがあって参った。鬼を」 「断る」  先を断ち切るような拒絶。  さすがに男性も唖然とする。
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