大巫女と開幕の祖

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「無血か……甘いな」 「ふ……散々言われてきたわ」  軽く笑う。  諫めてきた者もいる。  付いてきてくれる者、皆大切にしたかった。 「……ワシが為に散る命あり、救えず歯がみした事もあった」  手を見る。  握り締めながら、泰平を望み息絶えた者を多く見てきた。 ――だからこそ 「だからこそ、頼みに参ったのだ」  もう、誰も失いたくない。 「兵だけでなく、民も大切なのだ。ワシは守りたいのだ」  頼む。  言葉と同時に頭を下げる。  小さな溜息が板の間に響く。
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