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「……」
地平線を見たのはこれで初めてかもしれない。それほどまでに今まで住んでいた土地とのギャップが激しかった。
暑い。
ジリジリと焼け付くような大陽の下、僕は知らない土地で一人立ち尽くしていた。
「はあ……」
見渡す限り自然しかない。たくさんの木と、畑と、田んぼ。
汗を拭いながら、目の前のバス停で休むことにした。
木造の無人バス停にはクーラーなんて気の利いたものは無く、はげかかった時刻表、ポイ捨てされた空き缶、カビの臭いが充満していた。
僕はリュックサックの中からミネラルウォーターを取り出した。もうすっかりぬるくなってしまって不味い。
ペットボトルを閉まって地図を出した。目的地までまだまだ遠い。
「……タクシー」
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