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しかし。
「にゃー」
「にゃおー」
「にーにー」
猫たちは僕の手をするすると抜け出し、捕まえられない。
「……っ」
僕は夢中になって追いかけた。しかし猫のすばやっこさには勝てない。
「お願いだよ、ここは僕の家なんだ」
猫に話しかけるように言う。
「にゃおーん」
猫たちは僕と遊んでいるみたいだった。
「はあ……はあ……」
空腹と体力の無さで限界だった。僕はその場に座り込んだ。
「……なんてこった」
ここにきて一人静かに暮らそうと思ったのに、これじゃあ前よりも騒がしい。
違うところは、それは人間ではないということだけ。
「みー」
そのとき一匹の猫が僕のところに近づいてきた。
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