もう一人で

14/15
前へ
/41ページ
次へ
しかし。 「にゃー」 「にゃおー」 「にーにー」 猫たちは僕の手をするすると抜け出し、捕まえられない。 「……っ」 僕は夢中になって追いかけた。しかし猫のすばやっこさには勝てない。 「お願いだよ、ここは僕の家なんだ」 猫に話しかけるように言う。 「にゃおーん」 猫たちは僕と遊んでいるみたいだった。 「はあ……はあ……」 空腹と体力の無さで限界だった。僕はその場に座り込んだ。 「……なんてこった」 ここにきて一人静かに暮らそうと思ったのに、これじゃあ前よりも騒がしい。 違うところは、それは人間ではないということだけ。 「みー」 そのとき一匹の猫が僕のところに近づいてきた。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加