もう一人で

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「ん?」 口に皿をくわえていた。 「みーみー」 猫は皿を床に落とすと、前足で示した。 「……まさか」 僕にはそれが「ご飯をよこせ」と言っているようにしか見えなかった。 「僕にはもう料理をするだけの体力が残っていないんだよ。君たちのせいでね」 そういってそっぽを向いた。今の僕は、かなりの不機嫌。 「みーみー」 それでも猫はご飯を、と申してくる。その猫をはじめ、次第にご飯を請求する猫が増えてきた。 「ちょっと……なんなの?」 全ての猫が各自の皿を持っていた。 「なんてちゃっかりしているんだ」 大きくため息をついて、僕はあきらめた。  
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